半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

Note開設


長らく続けているジャズブログです。

この度、Noteというサービスにアカウントを開設しました。
note.com

ここ最近の私の活動としては、

  • セッションに適当に参加
  • 声かけられたバンドに参加・自分で単発のライブをする(少ない)
  • 中四国の地方都市にセッション遠征(「ジャズ旅」)
  • 月に一度地元にてアドリブのワークショップを開催(「Endemic for Jazz, Adlib workshop)
  • SNS上でアドリブやオブリガートのワークショップ(「オブリガート友の会」フェリシモっぽい!)

てな感じでした。あとは家でひたすらピアノを弾いている日々。

最近思うこと

若いころアドリブの方法論について、すごく悩んでいろいろ試行錯誤してジャズができるようになったんですよね。
その経験を、今からジャズを志す人に対して伝達できないか、というのを考えるようになりました。
というのは、地方都市で、ジャズやっている人の高年齢化がいよいよあからさまになってきたから。
活きのいい後進がいないと、未来がない。

なので、ワークショップ的なことを積極的にやるようにしたんですが、
ことここに至って思うのは地方のマーケット需要の狭さと、自分が若者コミュニティにアクセスする手段のなさよ。
なので、地域でローカルコミュニティにいては、思いも伝わらないし、現状は打開できないんじゃないかと最近は考えております。

そういう思いが、現在のブログにつながっています。

しかし、いまやっているワークショップについてはNoteというサービスがいいように思いました。
一番の特徴はブログと違って、記事の有料化がしやすいこと。
SNSのクローズドな会でのやりとりを完全にオープンにするには抵抗があります。
Noteはほどよくコンテンツを保護できるから。

このジャズブログ(はてなブログ)とNoteとの使い分けをどうするか、方針を定めてはおりません。
が、総論的な話や、思ったこと、つぶやきのようなものはこちらに。
各論的な話や、トランスクライブなど、成果物がまずまずあるような話はNoteに
と思います。

Stay Blue " Bill Evans ” 特集 その2

Stay Blue “ Bill Evans 特集 ” その1 - 半熟ドクターのジャズブログ 
Stay Blue " Bill Evans ” 特集 その2 - 半熟ドクターのジャズブログ (←Now)

続きです。


www.youtube.com

Comrade Conradという曲は親友のConradにあてて書かれたBill Evansのオリジナル曲です。
非常に美しいコードワーク。しかし四拍子と三拍子を行ったり来たりする、なんとも言えない曲ですね。
*1
日本のミュージシャンですが浜崎航さんと福田重男さんのDuoアルバム"レイチェルズ・ラメント" でもこの曲取り上げられています。
このアルバムおすすめです。


先ほど触れましたが、Bill Evansの複雑な精神性の一因には、当時のジャズ界において、白人のBill Evansがいささかデリケートな立ち位置に置かれていたのもあります。
もちろん、Benny GoodmanやGlenn Miller楽団などのスウィング時代*2、それからCool Jazz、West Coast Jazzなど、白人がジャンルを牽引したジャズのサブジャンルはありました。
が「ジャズの本丸」でもある東海岸のジャズにおいて、黒っぽさが全くない白人ミュージシャンがピックアップされたのは、おそらくマイルスがビル・エバンスを抜擢したところから始まるのではないかと思います。*3

ウィントン・マルサリスが監修しているKen Burns Jazzというジャズドキュメンタリーがあります。
これは黒人のジャズマンを中心に据えたジャズの歴史であります(この史観では、前述のスウィング・ジャズやウェストコーストは、白人による黒人文化の搾取、と描かれている)しかし、そのKen Burns史観をもってしてもビル・エバンスを無視することはできなかったわけです。*4
この後、ヨーロッパのジャズも含めて、ジャズは多国籍化してゆき、人種による峻別が相対的に薄れてゆきます。ジャズはグローバルな、コスモポリタンな音楽になってゆくわけです。
その潮流の序盤にビルエバンスがいたことは間違いない、と思います。

ただ、その副作用とでもいいましょうか。ビル・エバンスはその奔流の中でずいぶん傷ついたようです。
おそらくビリー・ホリデイが白人のショービジネスの文化の中で傷ついたのと同じく、ビル・エバンスは黒人コミュニティの中で深く傷ついたのだと思う。
結果として、麻薬耽溺を深め、早世してしまったのは残念なことです。

次の曲いってみましょう。



www.youtube.com

この曲もスタンダードです。
玄妙なコードワークが多くのミュージシャンを魅了しました。
きれいな曲ですよね。
Bill Evansもソロアルバム”Alone”で取り上げております。
このバージョンではかなり複雑な転調を繰り返しています。

先程「Bill Evansが”におわせ”」と言いました。
Bill Evansの生涯に何人か女性はでてきますが、エバンスは女性を冠した曲名をいくつかつけています。
(ちなみに最も有名な Waltz for Debbyは、姪御さんです。これは男女関係ではないのでよかった!)
インストなので、Aiko的に関係性を歌詞に織り込んだりとかはしませんが、割とロマンティックなタイプといえるでしょう。

ロマンティックなタイプ。言い方を変えると、自己中心的な視点でもあります。
ちょっと、メンがヘラっちゃっていると思いますね。

最初の奥さんが列車に飛び込み自殺をした3ヶ月後に次の奥さんと結婚していたりしたりもします
   ……ま、サイコパスですよね。それでも多分主観的には被害者意識は強いようですから。
そういう逸話を考えながら、アルバムをじっくり聴いていると、どうもタイトルが気になってくる。
スタンダードにしろオリジナル曲にしろ、です。

Suicide is Painless=死ぬのはこわくない。とか。
酒バラもそうですね。依存で崩壊というモチーフに、明らかに惹かれています。
「彼の人生は緩慢なる自殺であった」といわれる破滅的なものでした。

それにしても、曲名でメッセージを伝えるのは、あんまりよくない癖なんじゃない?とは思います。
自分作曲ではないにしろ、 "A house is not a Home "という曲名、やっぱ奥さんはいやじゃないかなあ……と思う。
"Two Lonely People"とか、そういうオリジナル曲もあるし。


最後の曲です。
My Funny Valentine。

Jim Hall とのDuet ”Undercurrent”より My Funny Valentineという名曲。
普通ボーカルものでバラードの形が多いのですがこのテイクでは緊張感みなぎるSolidな演奏が特徴的です。
インストのDuoとしては、非常に緊張感のある名作と言えます。
「きちんとBill Evans聴こう」と思ったら、私はまずこれをかけることにしています。

ご清聴ありがとうございました。

*1:ライブ後、私はこのComrade Conradにすっかり魅せられてしまい、隙間時間にピアノを触る場合、これを選んで弾くことが多くなりました。一見トリッキーにみえてシンプルなコード。スーパーマリオ 1-1みたいな感じで、いつまでも終わらない麻薬性があります。

*2:"jazz is music, but swing is business"とこの苦々しい状況に対してDuke Ellingtonは言ったとか

*3:当時マイルスが白人のビル・エバンスを起用したことについてはかなり話題になったらしく、記者に聞かれて「俺はそいつがスウィングさえできれば、そいつが緑の息を吐く紫色したやつだろうが構やしない」といったという語録が残っています

*4:まあ取り上げ方は可能な限り少ないとは思いましたけど

Stay Blue “ Bill Evans 特集 ” その1

Stay Blue “ Bill Evans 特集 ” その1 - 半熟ドクターのジャズブログ (←Now)
Stay Blue " Bill Evans ” 特集 その2 - 半熟ドクターのジャズブログ


先日、久しぶりに少人数ユニット "Stay Blue"というバンドでライブをしました。
*1

レパートリーにBill Evansに縁がある曲が多かったので、
Bill Evans特集」ということでパワーポイントを用いたプレゼンを演奏の合間にはさみお送りしました。

せっかくなので、ここに公開しておきます。

(実際には演奏をしていますが、今回はBill Evansの音源を貼っておきます)



www.youtube.com

(拍手)みなさまありがとうございます。
一曲目はBeautiful Loveでした。
これはもともと古いミュージカルの曲だったんですが、ジャズではあまり注目されなかったんですよね。
Bill Evansが"Explorations"で取り上げ、再び注目を浴びました。
これがきっかけで多くの人がとりあげるようになり、今ではジャズのスタンダードとなっています。


Bill Evansは1929年生まれ。51歳で亡くなっています。
日本で言えば、藤山寛美さんが同い年。オードリー・ヘップバーンも同い年だそうです。

ジャズ好きなら絶対知っている有名なジャズ・ピアニストです。
アルバム "Kind of Blue"の前後でMiles Davisのバンドに加わっているのがキャリア上特筆すべきことでしょうか。
マイルスはBill Evansのコードの解釈などにインスパイヤされて「モード奏法」を完成させたといわれています。

「モード」はモダンジャズの歴史の中で、Bop以降大きな進化をみせた奏法理論です。
モードの形成にビル・エバンスは深く関わっている。ジャズ史上の重要人物たる所以でしょうか。

その後Bill Evansスコット・ラファロポール・モチアンと組んでトリオの活動を開始します。
ライブ4作品が残っており、これは”Riverside4部作"といわれ特に評価されています。
大変残念なことに 新鋭のベーシストスコット・ラファロはこのライブの2週間後になくなってしまいます。
(また、そのことによってこの四作が伝説に押し上げられた理由かもしれません)

Bill Evansはその後もメンバーに多少の変遷はありつつトリオでの演奏を主体に活動し51歳に病没します。
それでは次の曲に行ってみましょう。



www.youtube.com

「酒バラ」と称される曲です。同名の映画のタイトル曲。
今回はToots thielmansとの共作 "Affinity"でBill Evansが施した転調するバージョンに準じてお届けしました。
 映画は幸福な家庭がアルコール依存症で崩壊するストーリーでありまして、Bill Evansも思うところあるのか、晩年は頻繁に演奏を繰り返したそうです。


Bill Evansのいいところをあげてみましょう。

サウンドに関しては、ジャズの歴史において「ビル・エバンス以前」「以後」と言ってもいいくらい、完成された独自のスタイルを作りました。
コードワーク、ハーモニーは、ドビュッシーなどの印象派の影響もうけているともいわれますが、VerticalというよりはHorizontal、マイルスの志向とも共鳴し、前述したとおりモード奏法の理論体系の構築にも一役買いました(Bill Evans本人はモードというスタイルそのものにはあまり興味はなく、あくまで独自のサウンドを志向しましたが)
またRiverside4部作がそうですが「インタープレイ」も特徴です。お互いがお互いの音を聴き、定型よりも濃密に反応しあうスタイル。
これも特にプレイヤーの中ではエポックメイキングであると受け止められました。
サッカーとフットサルの違いを考えてみるとわかりやすいかもしれません。フォーメーションよりも、意思疎通がしっかりしていれば自由な守備範囲で動くことによって、すばらしいサウンドを届けることができます(トリオという自由度の高いメンバー編成も、それゆえかもしれません)。

こうしたスタイルを作り上げ、ジャズの歴史に大きく貢献したビル・エバンスが、当時では珍しく白人ミュージシャンだったのも一つの特徴であったように思います。おりしも公民権運動の盛んな時期で、人種問題は非常に政治的な問題でした。
マイルスのバンドでビル・エバンスは相当いじめられたらしく、精神を病み、結果ドラッグ耽溺の悪化にもなったようですが。

他方、ビルエバンスのよくないところ。
先程も述べましたが、かなり深刻なドラッグ依存症で健康を損ね、早世につながりました。
また実兄が拳銃自殺を遂げたり、最初の奥様も電車に飛び込んで自殺するなど、身近な人の死が相次ぎました。共に新しい時代を作ろうとしたスコットラファロも早世してしまい、死の影が付き纏っています。
家庭生活なども決して幸福とは言えない状態だったようです。
写真ではスーツに黒縁メガネで、フォーマル感を醸し出していますが、病的な痩せ方からわかるとおり、プライベートは破滅型であったようです
*2

トリオを中心に活動し、サウンドや共演者の多様性が低いことも、活動の幅という点ではいささか残念です。
(例えば同年代のハービー・ハンコックなどと比べてみてください。またサイドで活躍するトミーフラナガンなどとも)
メンタルとしては決して良好と言えない彼は、作曲名とかで「匂わせ」をする名人でもありました(後述します)。

さて、次の曲にいきましょう。

*1:コロナ禍の中、ミニマルな形でありました。幸いその後このライブが原因となる感染拡大はなかったようです

*2:ちなみに晩年はヒッピームーブメントの影響もあるのか長髪・ヒゲで格好もカジュアルになりますが

セッションのゼロサムと非ゼロサムについて

2021, 倉敷

以前にこういうことを書きました。
jazz-zammai.hatenablog.jp

 でも、テニスのラリーとは、少し似ている部分もあるかもしれない。
 ラリーを続けることと、得点をすることが、相反するように。

 ジャズは、勿論協働してひとつの曲を作り上げる「非ゼロサムゲーム」的な要素もあるわけですが、もちろん、ソリスト同士が、お互いのソロを競う「ゼロサムゲーム」的な要素もあるわけです。

 出来上がった音楽をいいものにするには、相手の得意なところをのばすようなアプローチがいい。でも、相手よりも自分のソロを印象深いソロにするために、相手の得意な部分をつぶすようなアプローチも時にはありうるとは思います。

さらりと書いた「ゼロサム」と「非ゼロサム」の話を掘り下げていこうと思います。
セッションはある種のゲームだと思っているのですが、ゼロサムゲームと非ゼロサムゲームの二つのルールが混在していると僕は思っています。

  • ゼロサムゲーム:参加者全員の得点の合計が常にゼロである得点方式のゲーム。一方が得点すると他方が失点するため、勝ち負けがはっきりしています。例えば麻雀がそうです。
  • ゼロサムゲーム:ある1人の利益が、必ずしも他の誰かの損失にならない得点方式。その状況の参加者の間で、資源を分配しあうというよりは、資源を蓄積していく状況に当てはまり、そこでは、ある人が利益を得たことと独立して、他の人も利益を得ることができる。

あ、今回は主にフロント楽器の人に向けて書いていますよ。

音楽を作り上げることは非ゼロサムゲーム

当然ですが、多人数が集まって一つの音楽を作り上げる際にはゼロサムゲーム=奪い合いという考えにはなりません。
それぞれの音が調和し、プレイヤー同士の意志のやりとりが円滑であれば、いい演奏になります。
調和のとれたよい演奏ができると、客観的にも主観的にも深い満足が得られる=高得点ということになります。
アンサンブルは、お互い様。
うまい演奏は全員に得点が与えられ、演奏がうまくいかない場合、全員等しく低評価、ということになります。
音楽は奪いあいではなく、分かち合いです。

また、サウンドを構築するリズムセクション(ピアノ・ギター・ドラム・ベース)は基本的にそのサウンドに一人しか存在しません。
従って、自分のポジションを全うすることが求められるし、他の楽器が代替することもできない。*1
従って競合関係にはならない。
ゆえに「お前はうまく演奏しろ。俺もうまく演奏するから」という心情となりやすく、ありようとしては非ゼロサム的な Win-Winの関係になりやすいです。

 本来はこれが音楽としてのあり方だと思います。
 ただ、フロント楽器での参加の場合は、少し様相が異なるんだな。

フロントマンでのセッション参加はゼロサム的視点が多い

 フロントマンでセッションに参加する場合、複数のフロントマンがいるパターンはよくあります。
 そういう場合は、どうしてもフロント同士のありようは、ゼロサム的になる。

 フロントは、リズムパートに比べてサウンドにおける立ち位置が特殊です。

 フロントはソロやメロディで最も目立つ。
 自分のソロの演奏が、強く全体の曲の良し悪しを決定するポジションにあります。
 その反面、アンサンブルに貢献する部分がかなり少ない。
 他の人の演奏を支えようと思ってもなかなか難しい*2

 つまり、フロント楽器は、テーマメロとソロへの依存度が強く、サウンド自体への貢献が少ない。
 構造的に「スタンドプレー」の楽器なんです。
 
 はっきり言ってしまうと、
 フロント楽器って、いなくてもサウンドは成立するわけです。

 他のパートはサウンド全体に貢献し、そこからソロで加点方式。
 対して、フロントはテーマとソロのみ。そこで加点を狙うしかない。つまり基本給なしの歩合給のみ、です。

 基本的にフロント楽器はリズムセクションサウンドに「乗っかる」形になる。
 そういうフロント楽器が複数人いれば、どうしてもソロの優劣、ソロの巧拙を競うゼロサムゲームの構造になってしまうわけです。
 実際に、ジャズ黎明期からこういうソロ勝負みたいな「カッティング・エッジ・コンテスト」というものは存在していました。

ゼロサムゲームの弊害

 しかし、ゼロサムゲームは、やはり音楽的ではないわけです。
 いろんな曲がこなせるようになり、あちらこちらのセッションに出稽古に、てのは中級者あるあるです。
 が、フロント同士の「勝ち負け」視点しかない人は、すぐわかってしまいます。
 ゼロサム型思考の方は、こんな感じです。

  • ソロにしか興味がない
  • 周りのサウンドに興味がない
  • 曲全体の流れに興味がない

「やりたい盛りの中級者」のフロントマンは曲の全体が見えていなかったり、セットリスト全体が見えていなかったりします。

それもまあしょうがないことだと思うんですよ。
フロントマンのソロっていうのは、自分と向き合うことでしか練り上げられないものだから。
でも、その段階を超えてくると、サウンド全体をみられるようになってきます。

ゼロサムの利点

書いてきたことを振り返ると、「ゼロサム的な考え方マジクソ!」と思われるかもしれません。
でも、多分フロント楽器として大成するには、ゼロサム的な「脂っぽさ」は絶対に必要です。

今よりももっといい演奏、その貪欲さを失ったおじさんの演奏なんて、心に響かない。*3

自分の演奏をよりよいものにしようという自負心は、ソロの成長の必須栄養素です。
そして定命である我々人間には伸び代はずっとあります。

また、フロントは、他のパートと違って、” Winner Takes All "の側面が強い。
どうしても勝たなきゃいけない場面、譲っちゃいけない場面、というのも多分あります。

そんな時に、いわゆる「ゼロサム」的な戦いの経験が全くない場合、ヘタをうつことだって十分ある。
バキバキにプライドをへし折られて立ち直れず、数ヶ月セッションにも出られない……
みたいなことにならないためにも、それなりの場で競り合う経験、できればほどよく負けて悔しい経験などがあった方がいいんじゃないかなーと思います。

ゼロサムの場

フロントのよく集まるセッションだけ行っていても、非ゼロサム的な修練を積みにくい。
ゼロサム的な、サウンド全体に注意をはらう音楽の作り上げの経験としては、以下のものがあるかと思います。

  • ワンホーンもしくはツーフロントのバンドを作る。セッションではなくバンドで曲の構成まで作り込む経験は、セッションにおいても、同じように構成に注意を払うことができるようになるでしょう。
  • 歌ものバックのオブリガート。あまりフロントの集まらないボーカルセッションに参加することで、フロント同士の競合を避けることができます。ボーカルのオブリガートは、自分が最前線にでずに、サウンドを支援する側にまわることのできる数少ないチャンスです。
  • バラード。バラードではフロントの競合は基本的にしません(そこに加わるフロントは野暮です)

まとめ

*1:唯一のパターンはピアノ・ギターなど複数のコード楽器が混在する場合。

*2:他の人のソロの時に、リフや白玉を織り交ぜる、くらいでしょうか

*3:もちろん他人に対して「勝ち負け」を追求する必要などありませんが、自分の演奏の完成度を高めようという自負心に対して「勝ち負け」はあると思います

ソロの構成について その3

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2021, 香川

ソロの構成について その1 - 半熟ドクターのジャズブログ
ソロの構成について その2 - 半熟ドクターのジャズブログ
ソロの構成について その3 - 半熟ドクターのジャズブログ(←Now)

続きです。

その1。
近視眼的には、ソロの際、どの音を選んでフレーズを吹くかを考えますが、それに慣れてくると、ソロの全体構成を俯瞰しましょう、という話。

その2。フレーズの細かさという点で3段階にわけました。
それぞれの段階を意識してソロをアナリゼしたりフレージングの練習をしてみましょう。

という話をしました。
しかし、「盛り上がり」というのは、フレーズの細かさだけではありません。

あ、この章は、ひとまず、初心者を脱し、アドリブのフレージングが無理なく出せるようになった方に向けて書いています。

ソロの要素

アドリブソロはたくさんの要素を含んでいます。

  • フレーズの細かさ (これはその2で触れました)
  • フレーズの音列の複雑さ
  • フレーズの背後にあるコード進行の複雑さ
  • 音の大きさ
  • 音の高さ
  • 音色・ビブラートなどの音響情報(言語化されないことが多い)

 このそれぞれの要素すべてに、静的→動的 な段階があります。
 それらの複合的な要素の変化で、アドリブソロというものは盛り上がりを示してゆくものです。
 もちろん、その盛り上がり方は、シチュエーションによって変わってくることもあるし、その人の得意としているパターンもあると思います。

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イメージを図示してみると、こんな感じになります。色々な要素を複合して「盛り上がり」というものは作られる。

盛り上がりを「要素分解」する

 そういう盛り上がり、聴いたら、わかると思います。
 しかし、演奏側、音を「提供する」側にまわれば、同様な感動を演出するためにトレーニングを積む必要があります。
 これがなかなか難しい。

 多分、セックスとかと同じで、感性でなんとなく上手くやっちゃう人はいるはず。
 ですけど、自分がそこまでそういうのに長けてない場合は、それを理性でコントロールする必要がある。
 「要素分解」「解析」が必要です。

 まずは一つのパラメーターをいじってみることを仮定しましょう。
 例えば、同じような第二段階(その2で述べたやつです)のフレーズを2コーラス吹くとしましょう。

 音量のパラメータをいじってやるとどうなるか。
 後半の音量を少し上げるだけでも、ソロの構成としては盛り上がります。
 音高のパラメータをいじるとどうなるか。
 後半のフレーズに高めの音域の音を入れると、やっぱり後半盛り上がる感じにはなります。

 こういう観点で、すべての要素を検証してみましょう。
 自分の好きな音源のソロを聴いてみましょう。
 音の高さはどうなっているのか、音量はどうか、フレーズの細かさはどうか?すべてそのパラメーターだけに注意しながら聞いてみればいいと思います。

 慣れてきたら複数の要素をソリストがコントロールしていることも見えてきます。
 ソロの盛り上がりでは、複数のパラメータが複雑に変化します。

 今度は、自分で複数のパラメーターをコントロールしてみましょう。

 例えば、ソロの全体を4つ(例えば2コーラスソロだと半コーラスで一つのセクション)のセクション、
 A-B-C-Dとわけてみましょう。

 A:フレーズは第1段階(空白多め)
 B:第二段階のフレーズ主体
 C:同じく第二段階だが、フレーズにハイノートとかが少し混ざる
 D:全体に音量大きめ

 みたいに構成すれば、立派に、ソロの起承転結感をつくりだすことができます。

 A:第一段階〜第二段階
 B:第二段階のフレーズ。しかし裏コードやコードの代理などで、フレーズをカラフルに
 C:フレーズとしてはシンプルなリフに近いが、ハイノートで大音量
 D:第二段階 音はやや小さく、音高もテーマメロに近いレベルに下げて終了

 みたいなのもあるでしょう。

 A:第一段階 テーマモチーフの展開
 B:第二段階
 C:第二段階だけど、一瞬瞬間最大風速的に第三段階のフレーズを入れる
 D:第二段階のフレーズ〜第一段階に戻り終了

 みたいなパターンもあるでしょう。
  歌ものの間奏のソロって、こんな感じのクールなパターン多いですよね。

 もちろん、こういうソロの盛り上がりは、ソリスト一人の手によるものではありません。

 例えば、Miles Davisの"Nefertiti"という曲があります。


www.youtube.com

 これは同じテーマメロディーは変わらず、コーラスが繰り返されます。
 しかし同じことをやっているわけではなく、バックのサウンド、コード進行やアンサンブルは、静的なものからどんどん動的になり、サウンドは豊穣になり、最後は静的な状態に回帰します。

 フレーズは一切変化させずに、フレーズの背後のコードやリズムセクションの複雑さを変化させています。
 曲の構成、盛り上がりという要素に関しては、ソリストはあえて動かず、その他のプレイヤーにゆだねている、という構図です。
 大変実験的でもあり、クールな例であると言えます。

 ネフェルティティは極端な例ですが、自分ひとりで盛り上がりにくい場合は、バックのサウンドにも協力してもらうのも一つの解決策です。
 リズムセクションの方々(特にドラムの方)は、テーマやソロに応じてサウンドそのもののに追随することを、フロントの方よりも早い段階で手がけていることが多いと思います。ですよね?

 もちろん、経験やもてなし力が足りないリズムセクションの場合、逆に自分が盛り上がっても、バックサウンドが反応してくれないような時はまずまず。このときは、桶狭間の戦いで部下が付いてきてくれないパターンの織田信長。討ち取られるだけ。*1

練習の時に

 練習するときに、この一つひとつの要素を検証しながら、ソロを演奏してみましょう。
 盛り上がっている時のパターンとして、音量を上げる、音高をあげる、フレーズを激しくする。
 さらに、この複数の要素を組み合わせる。

 やってみるとわかりますが、複数の要素は簡単に足し合わせできないものです。
 例えば、大音量でハイノートでなおかつ細かいフレーズを吹くのは、現実的に難しい。
 フレーズの細かさと音量はトレードオフの関係にあるからです。
 音量と音の伸ばせる時間もトレードオフの関係にあったりします。

jazz-zammai.hatenablog.jp

 そういえば以前こういうことを書いたりもしました。
 一番盛り上がるところで、むしろ音はシンプルになったりすることもよくある、という話ですが、
 フレーズの細かさはシンプルにする分、音高と音量を上げる、という盛り上がりのテクニックであると思います。

 自分の脳内でプランした構成通りに演奏がついてゆくとは限らない。
 なので、すべての要素を意識した上で、ソロの構成を一人で練習する時に試しておくのがいいでしょう。

 自分なりの定番の流れ、は練習しておかないとなかなか難しい。
 プロの方の演奏でも「またこのパターンかよ」と言いたくなるのもありますが「そのパターン」を作ることさえ、結構大変なんだぜ、と思いますね。

 フレーズそのものはともかく、楽譜に、そういう盛り上がりの構成を書いておく、というのも一つのやり方です。
 プロの方でもそういう盛り上がり計画を事前に書いている方、いらっしゃいます。

まとめ

 ソロの起承転結(構成)には様々な要素があります。
 いろいろな要素について、盛り上がる時にアクセルを踏めるように、練習の段階で試しておくとよいでしょう。

*1:とはいえ、チョー上手いリズムの方々で、「お前のそれくらいのソロの盛り上がりじゃあこっちは反応しねえよ」みたいな態度の方もおられます。セットリスト全体を考えると、それはそれで正しいのですけどね。そういう時は頑張って盛り上がってもらうくらい単独で頑張るしかないですかね……

ソロの構成について その2

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2021, 香川

ソロの構成について その1 - 半熟ドクターのジャズブログ
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ソロの構成について その3 - 半熟ドクターのジャズブログ

前回の続きです。
ソロの盛り上がり、フレーズの強度を三段階に分けて意識してはどうか?ということを書きました。

トランスクライブする時に、この段階を意識する

 好きな人のソロをコピー(トランスクライブ)する場合に、この三段階を意識してみるといいかもしれません。
 初学の段階では、第二段階の八分音符の羅列のところが、一番理解しやすい。
 そこに注意を傾けるといいでしょう。
 ただし、第二段階は楽器の初心者にはいささかハードルが高いのも事実です。
 第二段階が無理なくコピーできるミディアムスローの曲を練習するのが、ストレスの少ない練習だと思います。
 少し余裕ができたら、ミディアム・ミディアムファストとテンポをあげてゆきましょう。
 また、同じ第二段階でも易しいフレーズを演奏している場合とやたら難しい場合もあります。最初はソロの最初から最後までトランスクライブすることは難しい。その場合も、一部でもいいからトランスクライブしてみるといいと思います。


以前にコピー(トランスクライブ)について書いたことがありますが、今回触れた「三つの段階」を意識してみてください。

 

第二段階:

 常に八分音符でフレージングできることをまずは目標としてみましょう。
 これが、中級のまずは到達点だと思います。

 もっとも、簡単ではありません。
 しかし、この第二段階ができると、すべての曲・コード進行に対して、八分音符でアドリブフレーズができる状態になります。
 ストレスなくこれをできる状態にしましょう。
 それができれば、そこから「足し引き」ができる。
  ソロを構成するトバ口に立つことができるのではないか?と僕は考えています。

youtu.be

 これは私の例です。Fのブルースを八分音符を中心にフレージングしています
 恥ずかしいので2コーラスしか載せていませんが、あまり意識せずに何コーラスもダラダラとフレージングができる状態が、理想です。

 もちろん、こういうフレージングの中で、音高を少し上げてみれば、また別の盛り上がりの要素になる。
またコードに対してNon-Diatonic Scaleをフレーズに取り入れてもいい。
 この状態をスタート地点として練習するといいのではないでしょうか?

* * *

 最近流行りの「鬼滅の刃」でいうと、「全集中・常中」という状態でしょうか。
 コミックス6巻に出てきた特訓。

 最初の段階では難しかった「呼吸法」、全集中の呼吸。
 ただ行うだけでも難しいはずのそれを二十四時間常にその状態でいる訓練をすることによって、炭治郎たちは一段上のレベルに到達します。
 それに似ているかも。

 少し古い例えだとドラゴンボール。「常にスーパーサイヤ人でいられるようにする」ためのトレーニングを孫悟空孫悟飯としていました。
 あんな感じです。

 常に第二段階でフレーズを吹けるようにすれば、そこをたたき台にしてソロの完成度を上げることができる。

 第二段階のお手本はたくさんあります。
 ハードバップのレジェンド達です。スタンゲッツや、ハンクモブレー、アートファーマーやケニー・ドーハムクリフォード・ブラウンなど。

 日本のプレイヤーだと、バップマスター村田浩さんのソロを思い起こさせます。
 村田さんはトランペットですが、この第二段階のソロをおそろしいほどの滑らかさと安定感で朗々と吹ききる。
 まるで、高性能のエンジンや、精巧な機械時計の歯車の回転を見ているかのような美しさを感じることができます。

第一段階

 そして、その次に第一段階です。
 実は第一段階の方が第二段階よりも難しいと僕は思っています。
 もちろんトランスクライブには第一段階がもっともEasy-Goingなのも事実です。最初期は第一段階にふれることが多いと思う。
 僕もそうだった。
 しかし第一段階のフレーズを、第二段階を会得してからもう一度立ち戻ってみると、さらに様々な気付きが得られることでしょう。
 第二段階ができてから第一段階を見つめ直すと「抜き方」について新たな発見がある。

 休符や長い音の吹き伸ばしを有効に使うことは、第二段階とはまた別の感性や心性が必要です。少し長い俯瞰した視点を身につける必要がある。
 
 第一段階のよいお手本は、例えばルイ・アームストロングや歌物のオブリガート
 それからアントニオ・カルロス・ジョビン
 ジョビンはさすが天才メロディメイカーだけあって、空白を生かしたソロが実にうまい。
 ボサノバは第一段階の洒脱に溢れている音楽だと思います。
 
youtu.be
 第一段階っぽいやつ、あげてみました。
 Cool Struttin' のテーマ最後四小節から、そのフレーズをモチーフにソロを作ってみています。
 お手本というにはお粗末ですが、前述した第二段階とはスペースのとり方が違うことをなんとなく察してください。

 ちなみにトロンボーンという楽器は、第二段階に達するのがかなり難しい楽器です。
 なので、一見コピーをしやすそうに見える第一段階の部分を抜き出してトランスクライブを行うことが多い。
 ただ、第一段階をどれだけ習得しても何百時間やっても、第二段階にはならないんです。
 第二段階は第二段階の練習をしないとできない。

 これがトロンボーンソリストが少ない理由なのではないかと私は思っています。

第三段階

 そして、第三段階。
 これに取り組んでいる時点で、中上級者への道です(少なくともトロンボーンは)。
 
 第三段階は、第二段階を十分にできるようにならないとなかなか難しいのが現状です。
 昔でいうコンディミ*1、ホールトーンスケールなどのメカニカルなスケールも知っておいた方がいいですし、オルタード、U.S.T.などコードのリハモナイゼーションにも通暁しておく必要がある。
 リズムテンション、いわゆるポリリズミックアプローチとかMetric Modulationみたいなものもできた方がいいですし、何よりフレーズを刻む楽器の演奏力が第一に要求されます。
 すべての要素において一段階上のレベルのテクニックが必要になります。
 また、その表現形もさまざまです。
 到達すべきゴール、山の頂にもさまざまなスタイルがあります。

 ここまで来れば、アドリブ演奏の一番面白いところを味わえるんじゃないのかと思います。
 しかしこれは終わりなき自分との戦いです。
 方法論も千差万別でしょうし。

 一応、自分なりの第三段階のソロの例をあげてはおきます。
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まとめ

  • ソロの構成。後半盛り上がるためには前半を控えめにする。
  • 八分音符でフレージングする状態を「常態」とする。
  • ストレスなくそれができるようになれば、そこから音を間引いたフレージングや、さらに音を足すフレージングを練習してゆく。

*1:今はディミニッシュドスケールとか、W/H H/Wとかいうんでしたっけ?

ソロの構成について その1

2021, 香川

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(注)私はアマチュア演奏家にすぎないので、ベストパフォーマーの発言ではないことは留意くださいね。
(プロの方に聴いた話も含まれています)。

以前に書いたエントリの、今回はもう少し具体的な話。

jazz-zammai.hatenablog.jp
jazz-zammai.hatenablog.jp

要点は、

コード進行に沿ってフレージングをする、というのも大事ですけど、ソロの起承転結というか構成も大事ですよ

という話でした。
典型的なのは後半に盛り上がりを作ること。この図のように。

後半に向けてアクセルを踏むためにはどうするか?

結論は簡単です。
後半でアクセルを踏むには、前半でアクセルを入れなければいい。

マックス10の力で吹いてるのを15にもっていくことは無理です。
でもピークが10なら、前半を3とか5とかにしてて10にもっていくことは可能。

もし仮に自分に楽器のテクニックがなく10も出せない。せいぜい5くらい。
でも前半を2や3にすればソロの流れを作ることはできる。

大事なのは、一歩引いて、俯瞰した視点でソロをコントロールする意思です。

無論、普段の練習のマックスが10で、本番でそれをさらにギアを上げる姿勢も大事です。

漫画「Blue Giant」でユキノリに対して大がさせようとしたのも多分それ。

でもそれは全身全霊の力をだしても10.5、いや11に届くのがやっと。15なんて物理的に無理。
初手から全力でぶつかって、その結果起承転結の構成美が明確なソロ……なんてのは、天才の所業。
天才でないならば、それ以外の手段で演奏をよりよいものに近づける必要がある。

三つの段階にわけてみる

というわけで、ソロの「盛り上がりぶり」をコントロールしましょう。
音の高さ、音の大きさ、フレーズの複雑さ(リズム的に、ハーモニー的に)など、さまざまな要素を複合的に組み合わせ、我々は盛り上がりを演出してゆきます。

ただ、今回はフレージングの譜面上の細かさ、に特化して語ることにします。

* * *

ソロに関するフレージングの細かさについて私個人は、三段階にわけて考えています。

  • 第一段階:休符が多く、音が連続しない状態。もしくはテーマメロディーと同じくメロディメイクに近いレベルの音列。
  • 第二段階:主に八分音符でフレーズが構成されている、いわゆる「ハードバップ」のソロっぽい状態
  • 第三段階:それからさらに音符が複雑化したような、例えば三連符や十六分音符、さらに細かいフレーズ

 厳密にいうと、基本的には第二段階のモードが「標準」。
 敢えて落とす場合には第一段階。アクセルを踏む時は第三段階と考えています。

 もちろん、速い曲では第三段階の出番はありません。
 反対に、バラードでは第三段階の比率が高く第二段階の比率は少ない。
第一段階のような空白の多いフレージングと第三段階で要求される速いフレーズが同居している状態が多いように思います。
 曲やセットリストによってもその比率は変わってくると思いますが。

なぜ三つに分けるのか

 三つの段階にわける理由。
それは、それぞれの段階でトレーニングの方法がそれぞれ異なるから。
 もちろん通底するコード理論は同じですが、発現形が異なる以上トレーニングの力点がかわります。
 どれだけ第二段階だけを練習しても第一段階や第三段階は上手にならない。
 別の練習を少しするだけでソロは劇的に変わるかもしれない。

 「ひとまずのジャズっぽさ」を得るのであれば、まずは第二段階です。
 ここの練習をみっちりやりましょう。

 ただ、それだけだと、機械的で余裕がない感じになる。
 そういう人は、第一段階のソロの手法を取り入れてみたらいいのではないかと思います。
  ぐっと自然なソロになるかもしれない。

 ある程度のレベル以上のプレイヤー同士には、第二段階は「必要条件」みたいなところがあります。
 できて当たり前、名刺がわり、挨拶がわりというところでしょうか。
 そこから、第三段階でどうハネるかの勝負。

 セッションで個性が最もでるのは、第三段階だと思います。
 しかしそのためにはその練習を行わないと絶対に出てきません。*1
 アマチュアの中級〜上級、プロにはこの辺の地力に絶対的な差がある。
(逆にいうと、丁寧に第二段階の8分音符のソロをとることはアマチュアでも不可能ではないと思います)

続く

*1:まれに、第二段階の八分音符のタイミングを徹底的にモノホンに近づけて、音数はそのままに、超絶かっこいい演奏するというスタイルもあります