どの曲から始める? その1 初学者の場合
(2007年くらいに書いた記事をRefineしています。)
問:コンボの曲をやってみようと思います。
ただ、どの曲をしたらいいのか、よくわかりません。
先輩に訊いたら「簡単な曲をやればいいんだヨ!」と答えが返ってきました。……いや、だから、どの曲が簡単なのかがわからないんですってば。
はい、これまた難しい問題ですね。
何十曲かやれば、曲の難易度は自然にわかるでしょう。が、初めての時はわからないものです。
初めてであれば、どの曲だって難しいものですから。
全く初めての時は:
全く初めての場合は、ジャズを始めて最初の発表会に臨むとか、そういうシチュエーションですね。
どうしたらいいでしょうか?
これは逆説的ですが、全く初めての時は、簡単な曲、簡単な曲、と、ことさらに意識しなくていいんじゃないかと思います。
何やったってどうせ難しいんだから。
メロディーが吹けそうなら、やってみる価値はあります。
その代わり十分に時間をかけて取り組んでください。一曲丸ごとコピーしてやる(勿論、できる範囲でですけれども)くらいの気概を持って。
ほんとうは、ジャズって、オリジナルを墨守しなくてもいいんです。特にソロとか。
テーマの部分だって、例えば、4beatの曲をボサでやってみるとか、テンポを変えたりだとか、そういうちょっとした変更は非難されることではない *1
ですから、どんな曲も身の丈に合う形で演奏しようと思えば出来るものです。
そういう意味では曲の難易度というのは存在しません。
クラシックとの大きな違いはそこです。クラシックでは「難しさ」という属性は曲に付随する。
しかし、ジャズでは「難しさ」は必ずしも曲の属性ではない。同じ曲を難しくやることもできるし、簡単にやることもできる。
原曲の音符を一言一句変えてはいけないというルールはないわけですから。
ただ、初学的な段階では、変更自体が難しいです。
それに、ソロに関して言えば、ソロは自分を表現するために自分の技術を十全に使いきるものです。また、CD(LP)での演奏家は見事なテクニックを持っていますから。だからソロを完全に模倣することこそ難しい。
テーマ部分に大きく変更を加えずとも成立しそうなものをまずやってみればいいと思います。
ソロについてはまた別の項で書きますが、初学の段階では気に入ったソロがあればコピーして練習するのをおすすめします。
それを人前で演奏するべきかというのはまた別問題ですけど。
コピーしたソロを踏まえて自分で前もって譜面に書いてみたりするのも一つの手だと思います。
個人的なおすすめは、6コーラスくらいやっているソロの頭2コーラスくらいをコピーすること。また、歌伴などの限定された短いソロをコピーすることです。長いソロはどうしても起承転結などの流れを考えて、導入部分はやや静かに、途中からアクセルを踏み込むものですが、その静かな部分のソロは、無理なく演奏できる可能性が高い。歌伴のソロはわかりやすさ重視なので、比較的理解しやすいわかりやすいソロが多いです。*2
まとめ:
- 全く初めての場合はあまり曲の難易度は関係ない。
- テーマが吹けそうであれば、チャレンジしてみる価値はある。
- ソロはコピーしたものを自分のテクニックに合った風に改編できるなら、それが望ましい。