半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

CSR理論とジャズ その3

C-S-R環境は単一環境ではない

ジャズ・コミュニティーにおける
C環境・S環境・R環境というのを述べてきた。

ところが、実際には、ある地域が、単一の環境に支配されているということは少なくて、いくつかの環境が混在していることが普通である。
実際の植生でもそうで、C環境である森林・雑木林の周辺にはR環境である雑草が生えている草原が取り巻いていたりする。

ジャズにおいても然りで、C環境である大都市圏には、R環境も(あまり目立たないけどS環境も)混在している。
地方都市も、地域一番店ライブハウスはC環境要素があるし、それ以外にR環境・S環境が点在していたりもする。

そのブレンド具合というか、混在している中を、ジャズプレイヤーは移動したり行き来している。
C環境・S環境・R環境はお互いを補完する関係にあると言える。

S環境

その2でも述べたけれど、S環境だけでは未来がない。
S環境の中長期的な維持のためには、新規参入の育成環境であるR環境があった方が望ましい。

R環境

R環境は、学生や初学者の集まりであるが、R環境だけで閉じていると、やはりジャズの演奏能力の向上、というところに向かない場合がある。
過去いくつかの学生ジャズ研を見てきたが、外との交流がなくなって閉じたジャズ研は、急速に演奏の質が悪化する。一旦その状況になると、もう一度C環境との交流を取り戻すのは難しい。(そういう場合、R環境では居心地が悪い、演奏能力には長けているけど周囲との宥和能力の低い個体が、外へ環境を求めて出てゆく…みたいなイベントがないと、外との交流は復活しないことが多い)
R環境の質的な維持のためには、C環境とオープンに接続されていることが望ましい。
隔絶されたR環境は、だいたい淀む。

C環境

C環境の多様性を維持しているのは、当然ながら、C環境に隣接したR環境であったりする。
東京・大阪、大都市にはたくさんの学バンやジャズ研、音大のジャズ専科がある。これらから新規参入組が大量にC環境に流入し、C環境の質の維持と競争原理が働いている。もちろん前述したようにR環境にとってもC環境は補完した関係ではある。
ではS環境はどうか。
大都市のC環境のジャズプレイヤーのうち上位陣は、時々ツアーを組んで地方巡業にでかける。そう、S環境にだ。
S環境は、単独では収量が少ないが、全国くまなく合わせると、C環境のプレイヤーに対し、後背地としての潜在マーケットを提供していると言える。

それにS環境にとっても、C環境のプレーヤーが来ることによって、潜在ジャズ嗜好層への刺激付け、掘り起こしを行うことができる。

まとめ

このようにC環境、S環境、R環境というのは密接に相互を補完する役目がある。
S環境の維持にはR環境が必要だし、R環境にはC環境が必要。
C環境にはS環境もR環境もはずせない。

自らの地域のC/S/R環境を考察してみたらいいのではないかと思う。
エリアに必要なものはなにか、というのがみえてくるはずだ。