半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

カラオケについて

ツイッターでつぶやいたことを再構成して書いていますよ。

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 昨日はカラオケしてました。

 カラオケ部始動*1

 ところで、非ジャズの音楽コミュニティーの人からたまに「ジャズも勉強中」みたいなコメントを耳にすることがありますが、ジャズにずっと染まっていた私にはそのジャズの「お勉強感」がよくわからない。そういう観点からみると、最近の私は「ジャズという高尚な趣味を下りて大衆的な娯楽にうち興じている」ということになるんだろうか*2

 ま、それは完全な冗談で、ジャンルによる貴賎ってないと思う。そのジャンルにおける完成度が、絶対であり、一流のポップミュージシャンは二流のジャズマンや二流のクラシック奏者よりはるかにすばらしい。

 確かに「ジャズも勉強しています」とかおっしゃる人は、確かに「あー……ジャズも勉強した方がいいかもですね」っていう演奏をしている人が多いですけど。

 今になって、それ以外のジャンルの音楽に触れることも結構多いんですけれども、いや、むずかしいむずかしい。ポップスにしろ、ラテンなどにしろ、なんてむずかしいんだって思う。また、逆の例で「クラシックやってます」っていう人は田舎に沢山いますけど、僕そういう人に割と気おくれしてしまう傾向があるので、注意しないと。

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 で、カラオケに話を戻すんすけどね。

 最近は個人練をしたい時には楽器持ってカラオケボックスにこもったりしているんです。

 金管の場合、100%の時間を吹くのはなかなか難しい。どうしても唇を休ませないといけないから。で、空き時間が発生する。それで歌ってみたのがきっかけなんですよ。

 ちょっとやってみてわかったことは、 今までカラオケで不自由していたのは、自分のキーをよくわかっていなかったから。

 同じ曲を、トランスポーズを上下に振りながら、当てていき、サビ辺りで一番自分が声量を出してちょうどいいところに合わせると、まあ歌いやすいですわな。

 楽器として自分というものを考えた時に、マライア・キャリーばりに「ちょう」音域が広いならいざ知らず、普通は普通の音域です。なら楽器に合わせて美味しいところに持っていくべきだわな。このへんは、普通にジャズボーカルの人が取り組んでいることを参考にさせていただいたわけです。

  とか、割と系統的にカラオケに取り組んだので、昔に比べて不自由感がすごくへりました。

 もうひとつは、ここ一二年間、浜崎航さんのレッスンを受けたりして、(ジャズで、トロンボーンでの話なんですけど)バラードの時のニュアンスの出しかたとか、ブレスとか、いろいろ薫陶を授かっていることが、ボーカルでも同様でした。ジャズトロンボーンでの方法論は、ボーカルとかなり重なる。

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 浜崎さんはコンテンポラリー・ジャズで活躍されているすごい人なんですが、むしろオールドスクールのジャズマン(例えばレスター・ヤングとか)を徹底的にコピーすることを指導されました。

 徹底的というのは、本当に徹底的で、譜面上の音符だけではなくて、何拍目まで吹き伸ばしをやって、どこで止めているのか、フレーズのなかでどこでブレスをしているのか、ソロの時に音量をどう変えているか、吹き伸ばしなら、何拍目からビブラートが入っているか(それも、表拍からか裏拍からか、ビブラートも下げから始まるか上げからはじめるか、どれくらいの速さのビブラートが入っているか、などなど) 要するに楽譜にできない情報にこそ、吹き方のエッセンスが詰まっているわけです。

 そういうのを徹底的にやることでオールドスタイルの「いい感じの」唄い方が身につけられる、と、そういうわけ。頭を使ってフレーズをどうこう、というのはその後のレベルの話で。

 そういうのを踏まえると、確かにテーマを吹く時の意識が随分変わります。

 で、その変化が、声で歌うときにも反映されたのだと思う。

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 あ、言っときますけど、私別にカラオケそんなにうまくないですからね。だけど、3年前の自分からすると、随分うまくなりました。上から目線なのは、三年前の自分に向けて書いているせいです。

 一人で(二人でもそりゃいいけど)カラオケ行って、キーの調整をして、メモでもとってみると、随分歌いやすさは変わると思います。カラオケ苦手な人は、一度やってみることをおすすめします。

 わたしも、こういうきっかけがないと、一人でカラオケなんて行かなかったもんなあ。

*1:これは、いかにもTVバラエティー的なネーミングではあるが、どんなことも集まってやるときにロールモデルとして部活動しか思いつかない我々30代の悪弊をあらわしているのかもしれない

*2:実際ジャズに対してそういう考えをしている知人がいるのですよ。かなしいことですが