半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

トランスクライブのすすめ その2ートロンボーン編

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2020, 庄原

jazz-zammai.hatenablog.jp
の続きです。
これはトロンボーンの人用の解説になります。

アドリブのコピー(トランスクライブ)が大切ということはわかりました。
しかし、コピーするのすごい難しいんですよ…

はい。はーい。
そう!めっちゃそう!わかるよー。

トロンボーンって特に初心者の時には高い音もでないし速いフレーズも吹けないのに、ジャズのアドリブソロはパラパラ吹いて、めちゃ難しい。
こんなん、初学で完コピしようとしても、ムリ。
絶望ですよ、絶望。

なので、トロンボーンに限っていうと「コピー?そんなもん好きなソロなんでもコピーしたらよろしいがな」とよう言わん。心が折れます。

対策は主に 3つあります。

  1. わかりやすいトロンボーンのソロをコピーする
  2. わかりやすいトランペットのソロをコピーする
  3. 長いソロの序盤のソロだけコピーする

わかりやすいトロンボーンのソロ:

私もジャズ歴30年以上のおっさん。色々コピーしてきました。
けど、トロンボーンのソロ、技術的にはすごい難しいのが多いんですよ。*1
探し方にコツがあります。おじさんが、やりやすいソリストをピックアップしますよ。
ポイントは、速すぎず、高すぎず、難しすぎないソロ。

第3位:Bennie Green
ジャズの歴史ではベニーグリーンというとピアノとトロンボーンの二人います。ピアニストのベニーグリーンはかなりスマートなタイプですが、トロンボーンのベニーグリーンはもさっとした中間派といったプレイスタイル。
とにかくトロンボーンらしい伸びのいいフレージングが決め手。
ブルースとかもうワンパターンなんですけれども、いい音してんだよなぁ…

youtu.be
ベニーグリーンのもっさり感の真骨頂はふつーのブルースにあります。
ベニーグリーンのブルースはどれも同じに聞こえてしまいますけどね。
これがベタ、これが定番ということでしょう。

もっさりしていますけれど、これが完コピできたら、これでもういいや!っていう爽快感があります。昔ながらの中華そば感!
あと、テーマのうたい方とかも、好みはありましょうが、ぜひ一度トランスクライブしてみてください。バラードも素晴らしいですよ。


第2位:一部のCurtis Fuller
トロンボ二スト以外にも知られた有名どころですが、時期やバンドによってだいぶテイストが違います。
例えばJohn Coltrane "Blue Train"とかはバリバリ吹き倒していて、これはなかなか難しい。Art Blakey And the Jazzmessengersに参加している作品も、コピーけっこう難しいです。*2
でも、しっとり、ゆっくりしたバラード・ミディアムの曲はコピーしやすい。*3
"Blues-ette"というアルバムと、"South American Coockin"、それからNew Tromboneというあたりはまずまずコピーしやすいかなと思います。

youtu.be
これは表題作ですが、同じリフを6回繰り返すという衝撃のブルース笑。いやまあいいんですけど。一曲目は Five Spot After Darkという有名曲。

Jazztetといわれる Art FarmerBenny Golsonとやっている三管のバンドのやつもまあまあスロウでやりやすいです。
サイドメンで参加しているアルバムはかなり多いので丹念に探してみましょう。
ただ、沢山コピーしていると、Curtis Fuller特有のLicが鼻についてきます。時期によっては手癖感はありますね。

第1位:スタジオ仕事をやっているUrbie Green
これは私の好みなんですが、Urbie Greenオススメします。
ポップスやボサノバのスタジオワークに膨大な仕事を残しています。音の伸びやピッチのよさ、端正なビブラートなど、いかにもトロンボーンらしい演奏を堪能できます。ただ勿論めちゃ速いフレージングもできる人なので、ソロを通しでコピーすると、吹けなかったり。
リーダー作はおおむね難しいです。サイド参加を狙いましょう。
Antonio Carlos Jobim "Wave"とか、Walter Wonderey "Rain Forest"とか聴いてみましょう。

youtu.be
Waveの中の曲 "Look to the sky "です。いかにもトロンボーンの教科書ですねー、ソロはありませんけど…
割と音が高めなので、高いFからHi-Bb,Hi-Cくらいまで無理なく出せる能力は必要です。

youtu.be
オルガンのイントロは「未来少年コナンの回想シーンか?」と思わせますが、このアルバムではSo Niceとかが有名。Rainという曲は一個も有名ではないですが、Urbie Greenのトロンボーンを堪能ください。

この方の様に、仕事の幅が広く、ソフトで端正の音色で綺麗に奏でる系譜にはJim PughとかNils Landgrenがいます。
日本の方だと佐野聡さんが私は好きです。

あんまり初学に向かない人たち:

トロンボーンプレイヤーみんなうまいんですよね…
特にテクニック的に手がつけられないのは、
Conrad HerwigとかSteve Turre これはコンテンポラリーなので初学には向かない。
Carl Fontana、Bill Watrousとかも、楽器に自信のある人以外は真似しちゃあいけません。

他にもうまいプレイヤーはめちゃめちゃいます。近年レベルが上がったと思いますし。
ただ、まあ、どうせあなたがいっぱしのプレイヤーになるつもりがあるのなら、自分の好みのスタイルを見つけて挑戦することは全く問題がないですね。むしろ、トランスクライブなんて何十曲もしたらいいので、「おっこれかっこいいやん」と思ったら採ってみたらいい。
トランスクライブは、絵描きにとってスケッチとかデッサンみたいなもんですよ。
どんどんやればよろしい。禁止なんかしません。
ただ、どうにもうまいトロンボーンソロって、手がつけられないので、採りやすいかな?というのをピックアップしてみました。

続く。

*1:ちなみにビッグバンドのトロンボーンのソロはめちゃくちゃ難しい上にフレージングも何やっているのかよくわからない。

*2:Curtis Fullerの旬は5-6年しかないんですよね…

*3:カーティス・フラーの真骨頂は吹き伸ばしにあると思っています。ごくふとの音で、しかもビブラートとかかけないやつ。