半熟ドクターのジャズブログ

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『黒人リズム感の秘密』七類誠一郎

黒人リズム感の秘密

黒人リズム感の秘密

七類こと国際的に有名なダンサー・コレオグラファー、トニー・ティーのダンス解説書。

東京大学アルバートアイラー』で取り上げられていたのを前もって知っていて、古本屋で見つけて買いました。

 表紙は黒に金色で筆文字の題字であり、大層かっこいい。

 非常に納得のいく本でした。ダンスは全然しない私ですが、著者のいっている「体幹のパルスリズム」「脱力とインターロック」というのは自分の音楽体験でも実感していましたから。ここまで意識はしていないし、言語化できるレベルでの理解ではありませんでしたが、ビッグバンドをやっていた後輩に「リズムは首で感じろ」とかアドバイスした覚えがあります。あれ、あながち間違いではなかったということですね。

 単身アメリカに渡り、実力で今の地位に至った人間の類型として、自己アピールがやたら巧妙であるという癖があり、実際彼のダンス界での地位をしらないので、どこまで彼の言を信じるべきかはわかりません。んが(ここ鼻声音ね)私の到達した結論と大体合致しているし、菊地成孔も、『東京大学アルバートアイラー』で、その主旨に対して全面的に肯定(というか、かなりの部分をそのまま引用)していたことからも、多分真理に極めて肉薄しているのは間違いないと思う。

 例えばビッグバンドとか、ファンクとかのバンドをしていて、ノリが悪い、ノリが違うと言われて、悩んでいる人などには強烈におすすめしたい一冊。

 あとは、出身がえらい近いことにびっくり。彼が黒人リズムに開眼した街は、多分僕が幼少期に過ごした街だと思う。