半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

セッションのロードマップ その3ー演奏していない時

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なんて清らかな目なんでしょう…たべられちゃうのに。息子撮影。

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セッションに参加しています。
今日はかなり人が多いようですね…あんまり出番はなさそうです。
吹いていない時間には何をしているべきでしょうか?

はい。これすごい大事。
中級者の「なんでもやりたい病」の時は、参加していない時間は負けだと思いがちです。
そんな時は誰でもあります。
それは仕方がありません。
だが、そういう「若気の至り」的な時期は早めに卒業しましょう。*1

例えば、オープニングにホストの人が演奏するなんてパターンあるじゃないですか。
僕も初級者・中級者の時には、「いいから、早く吹かせろよ!」とか思っていました。
やりたい盛りの男子中学生、みたいな感じでした。
でも、実はこの吹いていない時間に、できることはたくさんあります。

セッションは場末のカラオケスナックとは違います。
自分が弾いていない(吹いていない)時も音楽を聴くようにしましょう。
そこで、スイッチを切ってしまうのは、とってももったいないことです。*2

ホストによる演奏:

ホストメンバーの演奏は、その日の演奏の基調を決める大事なデモンストレーションです。*3
・それぞれのリズム、ハーモニーなどのスタイル、ソロのスタイル、ノリ。
・八分音符の裏の位置。
・ベースとドラムが、どちらが前にでているか。
リズムセクションとのアイコンタクトなどで、リズムセクションとしての相互了解の様子。

ラーメン屋さんでいうと、まずスープだけ味わう、みたいなもんです。
これをきちんと聴かない参加者は、所詮はリズムセクションをカラオケの伴奏くらいにしか思っていない人です。
しっかりと本日のスープの具合を味わいましょう。

それぞれの曲について:

理想的なセッションでは、リズムセクションもフロントも色々な組み合わせで、曲をこなします。
したがって、参加者同士のスタイルが噛み合っている場合も、噛み合っていない場合もあります。

噛み合っている場合は、その完成度の高さを堪能しましょう。
噛み合っていない場合は、そういうすれ違いもまた、セッションの一つの姿として楽しみましょう。
 不思議なことにみんなうまい人なのに、あまり噛み合わない、みたいなことはあります。

演奏しているそれぞれのプレイヤーの演奏を言語化してみましょう。
可能なら、立ち会ったセッションの曲とメンバーの印象や、曲の進行などを素描というか、メモしたりしても面白いですね。

プレイヤーの印象を探る場合、出来るだけいいところを探すようにしましょう。
もし悪いところも探すにしても、いいところ3に対して悪いところ1くらいに留めておきましょうね。
鋭い批評眼は、自分の演奏にだけ向けていればいいのです。*4

イントロ、エンディング、それからバースなどの進行も、自分の予想と実際の結果に乖離があれば、なぜそうなったかを考えてみたりしましょう。特に、エンディングはうまいミュージシャンのうまさが出ます。

基本的な態度:

アウェイのセッションで演奏する時には特にですが、自己紹介と挨拶は欠かさないようにしましょう。
曲の合間で、一緒に演奏した人に、お礼がてら話しかけるようにしましょう。
セッションはコミュニケーションです。
*5
もし可能でありましたら、FacebookなどのSNSで繋がるようにしましょう。
「この人と2度と会うことはないかもしれないな」なんて思っていても、数年後、他の人とFacebookで繋がったりした時に、友達の友達という形で話の糸口になったりすることはよくあります。狭い世界ですから、お互いの交友関係って結構重なるもんです。

Facebookでメッセージをやり取りする時は、

「先ほどは XX(地名)のXX(お店の名前)でお世話になりました!」

とか、メッセージに店の名前とか出会うきっかけを書いておいた方がいいです。
私はいろんなところでセッションに出没していたりするのですが、忘れちゃうんですよね。
なので、こうやって書いておいたりすると、忘れません(日付はメッセージに付いてきます)。

自己紹介になるようなSNSのトップページが望ましいですね。
また、名刺のようなものを作るのも一つです。
私は、仕事の名刺に加えて、こういうセッションとかライブ用の遊びの名刺も作っています。

* * *

また、メッセージのやりとりのきっかけになりうるのは、写真でしょうか。
みな、自分が演奏している時の写真は撮れない。
なので、演奏していない時に、写真をとっておき*6、あとでメッセージとともに写真を送るとよいでしょう。
これ、結構ありがたいものです。
メッセージなら問題ないと思いますが、オープンなSNSに写真を載せる際には、写真を載せていいかどうか訊くようにしましょう。
*7

まとめ:

自分が参加していない演奏でも、きちんと聴くことができれば、自分が参加する曲の2〜3倍も経験を積むことができます。
自分よりもうまい人たちの演奏は、すごく勉強になりますが、うまい人とちょっと初心者の人が混じっているようなセッションも、それはそれで、試合運びとかそういうやつの参考になります。*8
他の人の演奏も「わがこと」として吸収することが、ジャムセッションを楽しむコツだと思います。

*1:ま、しかし正直にいうと若い参加者達は総じて紳士的です。こういうSelfishな行動は私の近しい年代のオジサンプレイヤーに実に多いので、けしからんことですよ。

*2:多分、そういう人って、ライブには行かなくてセッションだけに来るタイプね。

*3:ホストのレベルが参加するミュージシャンのレベルを規定します。たまにホストよりも随分格上のミュージシャンが遊びにきたりもしますが、そういう場合はホストの態度がそういう感じに変わるので、すぐわかるでしょう。

*4:別にいいとこ1、悪いところ3書いたノートとってもいいけど、他の人に絶対みられちゃいけない「デスノート」になっちゃいますからね……

*5:もちろん、絶対的な美を求める領域に近づくためにセッションに参加する人がいてもいいです。"Blue Giant"みたいな、ね。私もそういう演奏を目指したいものですが……

*6:写真とっていいかどうかはなんとなくホストか店の人に訊いてみてください。まああまり有効な返事は帰ってきませんが

*7:中には家族には「仕事だ」なんつってセッションに参加している人や、不適切な男女関係でセッションに参加している人もいたりしますので。僕もこれしばしば忘れがちですが。

*8:私は、セッションの中で「本日のベストテイク」のような、汚泥に咲く一輪の蓮の花、みたいな演奏に立ち会うのが好きです。私自身はそこに入ってなくても全然いいです。もし自分が入っているテイクがそれなら、とても嬉しいことですけれども、まあ僕そんな実力はないですわ……