半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

セッションのロードマップーその4(離)

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2020, 何虫?


セッションの歩き方について、長々と述べてきました。

その1:初心者は、まずバンドのサウンドにうまく調和しましょう。アドリブソロをコントロールしましょう。
その2:中級者は、自分のパートだけではなくサウンド全体に目を配りましょう。
その3:とにかくちゃんと挨拶しましょう。

ではその次はどうでしょうか?

ジャムセッション全体をコントロールする

中級者では、自分のパートだけではなく曲全体を、バンドサウンド全体を見ましょう、と言いました。
そこからさらに視野を広げましょう。セットリスト全体をそしてお店全体を見渡せるようになりましょう。

セッションホストという形で参加しているのであれば、人数が多い場合は交通整理を行う必要があります。
皆の満足度を推し量りつつ、不公平にならないよう、選曲に無理がないように、差配をして満足度が極端に偏らないようにしましょう。この辺り別項で述べています。

セッションホストがいない状況の場合は、なかなか難しいのですが、誰かが全体の流れを見ていた方がいい。
大抵は視野の広い人が参加者の中に一人くらいはいるものです。
(誰もそういう視点を持たず「自分が、自分が…」となっているセッションもあります。いくら楽器がうまくても、幼稚園児の集まりのようなものです。引率の先生がいない幼稚園児の群は、ただのパワーゲームです)

経験が深く全体を見渡している人が他にいなければ、あなた自身が全体の情勢を見極めてください。そういう人が他にいるならば相談し、やんわりと、望ましい状況に方向づけましょう。
明示されたホストではない場合、決定権はありませんから、強制力のある指示はできません。あくまで提案です。ですから、あまりにひどい事例は見るに見かねて少し介入する、という形しかとれないでしょう。

「池の水全部抜く」じゃないすけど「出来る曲全部やる」人は、うまくその人を引き剥がして(その人の好きじゃない曲やリズムを提案するというのが上策、『ちょっと交代しましょうか』と直言するのは中策、『おめーやりすぎなんだよヘタクソ!』は下策)、初心者でなかなか輪に入れない人には、無理のない程度に勧めたり、できる曲を聞いてコールしたりして後押ししたり。
また、特定の参加者としか演奏しない人(多分好みもあるのでしょう)には、別の組み合わせになるように順番を操作したりすることも。

人の組み合わせだけでなく、セットリスト全体の流れも大事です。例えば、おんなじようなテンポの4 Beatの曲ばかりにならないように、ボサノバとか、歌物、メジャー・マイナー、一発もの、ファンク系、ワルツ・変拍子など、さまざまな要素を組み合わせ、できるだけセットリストがカラフルになるようにする。
この辺りはライブの時の選曲、配曲にもつながってくる話です。

曲だけではなく、さらに上位構造であるセットリストに視野を向けて、見えて来る世界もあります。
ただ、それ、本当に楽しいの?とも思われるかも知れない。でも誰かがそういう役を担っているのです。世界の秩序のためには。
まあ、飲み会で、他の人を介抱するような役でありますがね。

これの弊害は「遊んでいるのに、仕事しているとしか思えない感じ」になることでしょうか。
視野の広さとバランス感覚が要求されますが、これは、管理職やマネジメント能力そのものなので。

広い視野と狭い視野の切り替え(もしくは共存)

こういうマネジメントは、セッション全体にとっては大事ですが、我々はあくまで一人のプレーヤーであることも忘れてはいけません。こういうマネジメント作業はお腹いっぱいになりがちで、没入よりも醒めた目で全体を眺めがちですが、それだけでは片手落ちです。
一人の奏者として音楽に参加する瞬間は、音楽に没入し、きちんと熱量を持って自分の演奏を完結する。
この切り替えができるかどうか。逆にいうと、一瞬でプレーヤーモードに入れるか。
うまいけど、あくまでクールに「やってあげてる感」満載で自分の仕事を淡々とこなす、というのは、一見良いように見えるけど、全然よくないです。やる気ないうまい人の演奏は、これからの人の心を悪い風に冷ましてしまうことがあります。

ハートに火を付けろ!

プロとアマチュアの差、もしくは、一流のプロとそうでないプロの差は、結構このあたりに出るように思います。
プロミュージシャンの方々は、抜いたリラックスモードから、臨戦モードに入るまでが、おそろしく早い。そして、それなりにハートに火をつけたような演奏をします(たとえ、内心はうんざりしていても)。

多分アマチュアはHi-Lo程度のギアしかないのに対し、プロはいくつかのギアを持っていて、セッションとかシットインで参加するような演奏は、ギアを一段階あげる程度で対応できるから、なんでしょうけどね。
(私はプロじゃないのでわかりませんが、見ている限り、プロはその辺りの立ち上がりさえもアマとは段違いではあります。たとえベロベロでもです)

 やる気のないふりして、いざステージに上がったらばっちり温まっている。
この辺りのモードチェンジの速さ、レスポンスのよさは、必須条件ではありませんが、セッション慣れした人に共通の現象ではないかと思います。管楽器はどうしても立ち上がりに時間がかかりますが、プロはコンスタントに練習をしているのもあるとは思いますが。

まとめ:

 初心者、中級者、上級者と勝手に区別しましたが、強調しておきたいのは、これはジャズや音楽の習熟ではなく、あくまでジャムセッションに対する初級中級上級ですので、誤解のないように。

 一言でまとめましょう。

 セッション初級者に必要なのは、勇気!
 セッション中級者に必要なのは、引き算!
 セッション上級者に必要なのは、熱意!

 では、今夜もばっちりセッションを楽しみましょうぞ!