半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

セッションのロードマップ その1(守)

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キリンの舌は長い

ジャムセッションは楽しい。

ジャムセッションにはいろいろな形態も、いろいろなレベルもあります。
もちろんそこに参加する我々にも、慣れや習熟度の点である程度の段階があります。

初級・中級・上級、という言い方はなんですが、守破離、の三段階にわけて
それぞれの段階におけるガイダンスをしてみましょう。

その1:「守」

セッションの参加者の経験の浅い人。ジャズの初学者の人。
ジャムセッション行ってみようかなー…でも怖いなー」という感じだと思います。
具体的にはこんな方々ではないでしょうか。
どんな曲でも参加できるわけではなく、限定した曲のみ参加できる状態。
この状態が出発点です。

  • ジャズは聴いたことがあるけど、実際に演奏するのはあまり経験がない。
  • 先生について、習っている。発表会では吹いたりしたことあるけど…
  • ピアノは昔から弾いているけど、ジャズいいなと思って、ジャズの譜面とか家で弾いてます
  • 大学・高校のジャズ研でセッションみたいなやつはやってるけど、外のセッションは行ったことない…

みたいな感じですかね。

ちなみに、行くのに物怖じする場合は、まずは楽器持たずに下見にいってみましょう。
(まあボーカルやピアノやドラムの場合は、楽器がなくても弾かされちゃったりすることもありますけど…)

  1. まずはできる曲を1曲か2曲決めていきましょう。曲はまあジャムセッションでやりそうなベタな曲がよろしい。
  2. テーマとアドリブができる状態まで仕上げましょう。
  3. セッションホストには「初心者なのでこれしかできません」的な感じで伝えておきましょう。*1
  4. アドリブソロは、別に書き譜でもいいし、前もって先生と一緒に作った譜面でも構いません。可能であれば、譜面なしで吹けるところまでやってください。
  5. 始めるときには「よろしくお願いします」。演奏が終わったら「ありがとうございました」というようにしましょう。
  6. 今、どの部分を演奏しているのかをわかるようにしましょう(特にボーカルの方!楽器の人がソロをしている時間は「休憩」ではありません。)
  7. 自分が指向している構成に持っていくためのハンドサインやメロディーを理解しましょう。
  8. 自分の思惑から音楽が逸れた時のリカバリーを学習しましょう(Plan Bへの切り替え)


4.ソロを書いた譜面を置かない。
この辺りは見解がわかれるところです。
どうしても置きたければ置いて見ながら吹いてもいいとは思いますけど…
もしあなたが成長したら、かならず譜面なしでアドリブをする時期はきます。
で、書いてある譜面を読みながら演奏するのと、たとえ前もって決めたソロでも、譜面なしで演奏するのは、使っている脳の場所が全然違うんです。どうせすぐ譜面なしの状態に移行しますから…
ソロを譜面にしてそれを読みながら吹くのは、自転車で言えば「補助輪」つきのようなものです。どんなに上手く吹けていても、補助輪なしの状態とは異なります。拙くてもいいから、補助輪を外す努力をしましょう。アクセルを踏むのはそこからです。

5. 挨拶について。
これは初学者だけでなく、中級者になっても上級者になっても同じです。
挨拶はコミュニケーションの入り口として大事だと、僕は思います。です。

6-8.この辺りは曲の進行に対する話ですね。
セッションにて、一曲をやるときには、テーマ、アドリブ、アドリブの交替のタイミング、4 barsもしくは8bars、終わりのテーマからエンディング……なんとなく自分の中に、前もって予想した展開があると思います。(CDとか、音源と同じで構いませんがね)

しかし、ジャムセッションでは、すべてが自分の予想していた形で進むかどうかはわかりません。
特に他の人がいる場合、他の人のソロが入ることによって、サイズが変わってくる。
その場で構成が動的に変化するというのが、ジャズの即興性であったり、面白さだと思います。
ジャムセッションにおいてもっとも面白い部分だと私は思いますが、同時に一部の人には最も容認しがたい部分なのではないでしょうか。

クラシックや吹奏楽の形が決まった演奏というのが当たり前でそのコンセプトの延長線上でジャズを練習した方や、ボーカルの方は特にこういう事態には対応が苦手です。*2

でも、ジャムセッションには、この言語化されにくい部分に醍醐味がある。

こうしたことを踏まえて、他の人の演奏を聴いてみましょう。
他の人がどのように進行をコントロールしているか、そもそも曲をコントロールしている人は誰かを、探ってみましょう。
最初は全然わからないかもしれませんが、だんだん見えてくるものがあると思います

次の段階にいくために:

前述した通り、音楽の構成が、出たとこ勝負でどうなるかわからない所にジャムセッションの妙はあります。
他の人のやり方を見ながら、自分でも試行錯誤してください。
初心者であろうが、曲をもってきて、テーマを吹くのであれば、その人に曲をコントロールする権限があります。
(もちろん上手くコントロールできない状況であれば、誰かがコントロールすることになるでしょう)
おそるおそるだとは思いますが、やってみましょう。

確かに、最初は参加できる曲は少ないかもしれません。
しかし自分が持ってきた曲以外の曲に関しては、黒本やiReal Proでコード進行をみながら、どうやってアドリブするか、とか考えながら聴いてみましょう。
ジャムセッションに習熟するコツは、どれだけこうした無形の演奏者同士のコミュニケーションをキャッチできるかにあります。
そしてそれは、自分が参加している時はむしろ見えてこないですが、参加していない時にわかりやすいこともあります。
ほら、「岡目八目」って言葉があるじゃないですか。ね?

あとは、演奏技術的な話をしますと、

  • レパートリーを増やしましょう
  • いろいろなリズムパターン(4 beat, Swing, Bossa Nova, Latin, Waltz, Funk)に対応できるようにしましょう
  • 4 bars, 8 bars, chaseなどのジャズにおいていろいろある構成のパターンの選択肢を増やしましょう
  • リズムセクションはイントロを適切に導入し、フロントはそれにうまくのっかって、テーマに入れるようにしましょう。
  • 逆循・カデンツァなどの定番ネタを仕込んでおきましょう。

私の思うに、スタンダードブック(青本・黒本)というものは、ジャムセッションにもっていくためにあるのではなく、家でベタなスタンダードを片っ端から弾いてレパートリーを増やすためにあります。どんどん曲に親しんでください。
あと、個人的にはこの段階ではバラードを本番に持ち込むのは賛成しません。たまに「バラードはテンポがゆっくりだから簡単」とか思って、バラードをコールする初心者の方がいますが、バラードは一番難しいんです。
個人的な美学をいいますと、バラードはジャムセッション 90-120分ごとに一曲ずつくらいでいいと思いますし、その場にいるミュージシャンの中で最も上手い人の演奏を聴くコーナー、くらいに思ってください。「いつかはやりたいな、バラード」くらいに目標にしましょう。

*1:初心者対応してくれるセッションだったら、普通にウェルカムだと思います。一方、初心者お断り的なセッションであれば、この時点で邪険にされてしまうかも。それは結構つらいことですけれども、RPGでいうと、そのセッションは踏み込めば瞬殺されるダンジョンみたいなものです。親切な村人の忠告くらいに思って、その日はリスナーに徹しましょう。

*2:ボーカルの方の中には、歌以外のパートをカラオケ音源のように考えている人もいて、自分の思っていた形にならない場合に激怒される人も中にはいます。