半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

言いたいことだけ言っとくわ。アドリブの練習の要点な。

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ひなたが気持ちいいワン…

どうやったらアドリブができるようになりますか?
アドリブするためにはどうすればいいですか?

もうね。そりゃそうだ。
その質問。わかるよ。

アドリブの仕方。方法論。
どうやったらいいかわからへん。

でも、そういいながら、質問している君も、君なりに、アドリブやろうとしたんだよね?

やらずに質問する人は、とりあえず何でもいいからやってみてください。

まずは思い切って飛び込んでみる。
そこでケガをしたあと、このアドバイスを参考にしてみてください。
結局なんだかんだいって、やらないとうまくならないのは事実です。
そして、下手なアドリブをリベンジして乗り越えないと、うまくならないです。

以前にこういうのも書きました。ビジネスにおけるPDCAを回さないといけないです。
jazz-zammai.hatenablog.jp

* * *

さて、ではその方法論です。
アドリブを行うための練習方法は様々ですし、これじゃないとダメ、とかもないです。
それぞれの練習方法は、自分で見つけてください。
もちろん教則本を見ても構いません。
練習方法はいろいろ試すべきです。
我々は仕事ではなく、遊びで音楽やっているんです。
楽しくないと意味がないですから。

ただまあ、試行錯誤するにも、いちおう経験者の実践的なアドバイスでも、しておきましょうか。

  • アドリブ演奏では、基本的に楽譜をみません。複雑な楽譜の情報を音にする作業よりも、頭の中でフレーズを作ること、そして「音」を大事にしてください。
  • ジャズは転調の多い音楽です。特にアドリブでは曲内で無数の転調(というか、コードチェンジ)を繰り返します。転調の練習は役立ちます。

最初はアドリブ全然ダメだったおじさんからのアドバイスです。
そして、ここを避けていると結局アドリブになりません。

譜面をみない、譜面にしない

暗記をしなさい、暗譜をしなさい、といっているのではないんです。
アドリブをするときには、頭の中でぶんぶん乱流のように渦巻いている思考の端っこを捕まえて、それを音にする、という作業をしています。そういう脳の使い方をしないと、アドリブのフレージングってとっさにでないんですよ。

例えば譜面に書かれた複雑なフレーズとかソロのコピー譜、エチュードをみながら、それを演奏する練習(これは他のジャンルでは当たり前に行われることです)は、いくら複雑なフレーズが吹けるようになっても、アドリブの実践にはつながりません。
もちろんそれが不要だとはいいませんが、しかしそれ「だけ」では、アドリブはできないということです。

なぜなら、使っている脳の領域が違っているから。

譜面を再現する。
これは、目で楽譜を読み、それを音のイメージに直し、それを楽器で再現する、という作業です。
これはこれで優れたミュージシャンになるためには必要なんですけれども、
譜面を吹くことと、アドリブを吹くことは、脳科学的には多分全然違う。

朗読と、会話では、使っている脳の場所が違っている。
それと同じことです。

* * *

例えば、Any Keyの練習などのときに、やるべきスケールをすべてのKeyで書き出して、書き出した譜面をもとに練習する方おられませんか?
もちろん、ポジションを覚えたりする意味で、この作業が全く無意味とはいいません。
ただ、それで終わってはアドリブのため練習にはならない。
いくら複雑なことをしていても、書かれていることを逐語翻訳しているだけだからです。
読譜力には繋がりますが、アドリブ力にはならない。

こういうのは、やろうとすることを楽譜にするより、言葉で表現した方がいいです。

ドレミファソラシド、ドシラソファミレド。半音ずつ上行してキーチェンジ。
とか。

で、書かれたオーダーを頭で再現する作業が大事です。
譜面を介さず、直接吹くようにしないと身につかないと思います。
内容を言語化し、オーダーを自分に課して、実行しましょう。
譜面に落とさない方がいいと思います。

もうちょっと言うと、特にフロント楽器については、
セッションの前に出て行って吹くときに、黒本とかを見ないで吹いた方がいいです。

特に吹奏楽では、楽譜がとても重視されます。吹奏楽出身の奏者は、敢えて楽譜なしで吹く努力をした方がいいと思いますね。

さらにいうと、楽譜よりもCDとか音源そのものに興味を持つようにしてください。
ジャズは楽譜によって「固められた」音楽ではなく、その場の音に対して相互作用してゆく音楽です。
音を出す根拠を、「楽譜」から「音」そのものに注力した方がいいです。

転調

端的にいって、ジャズは転調の多い音楽です。
なので、転調をばんばんノーモーションで繰り出せる練習をすると、実践に役立つことが多いです。

曲中の転調に対応するためには、インテンポで転調する練習をしましょう。
基礎練の時に転調と転調の間で息継ぎをして意識を切らせている場合が多いのですが、メトロノームに合わせて、一小節単位で転調してゆく(半音ずつとか、4度ずつとか)練習は、非常に実践的です。

吹奏楽でも、ドレミファソラシドをすべての調で吹いたりはすると思いますけど、
inC でドレミファソラシド、ここで息継ぎして、次は in Dbでドレミファソラシド… としているようでは、
使える転調にはなりません。息継ぎ、意識の途切れがないまま転調する練習をぜひしてください。
メトロノームを鳴らして、インテンポで。

例えば Fのキーから半音ずつまわって一周というのは難しいかもしれない。
その時は、できるキーで構いません。
FからC,Gくらいまで、反対方向にBb Eb Ab。
これくらいでも最初は構いません。

* * *

また、相対音感…というほどではありませんが、相対度の感覚をつかむために、好きな曲のテーマ(覚えているものにしましょう)を、すべてのキーで吹くことはよい練習になります。
調性の動かないメロディーが最初はおすすめです。My Little Suede Shoesとか、Moritat、枯葉とか。

これは苦手な人には絶望的な作業です。
しかし一曲こなすことができたら、あとは結構ラクです。

慣れたらAll the ThingsとかIpanemaとか調性のまあまあ動く曲でチャレンジしてみてください。
楽器うまいけど音感乏しい、昔の僕のような人は、Sir DukeTuttiのところをやると、ストレス解消になります。