半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

コンディミ事始

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今更ながら、コンディミをしこしことやっている。

ジャズのフレージングについては、たとえばオルタードがどうとか、コンディミがあるとか、そういう話はアドリブの勉強をしていた初学の段階でもちろんさらうわけですけれども、その後、コンディミに関しては重要性や使いやすさは理解しつつも、あまり利用しようとは思わなかった。25年間、コンディミは放置していたんです。

理由はいくつかある。

  • その1:トロンボーンでコンディミスケールを、上行、下降するのはむずかしい。12音中8音使う、ということは、クロマチックスケールにも準じて、半音単位の移動が結構あるが、こういう半音の動きはトロンボーンにとってはかなりやりにくいのである。トロンボーンでかっこよく吹きこなすことがむずかしいのだ。実際に吹きづらいフレーズは、やっぱり足が遠のく。
  • その2:かと言って、Diminishを使わなかったわけではない。最近になるまで(というか、今でもだけど)、スケールアプローチではなく、コード・オリエンテッドなフレージングをしていた。リハモにおけるパッシングディミニッシュとかは大好きだ。従って、ディミニッシュのアプローチは結構多用するものの、コンディミ、という形では使わなかった。例えば、ED-GF-BbAb-C#B-みたいな、Diminishに沿って対称性を保ったまま動かすとか、そういうのはむしろよく使用していたのである。しかしこれは、今にして思えば、Diminish 7th のコードなりに弾いているだけで、コンディミらしいうまみがないと思う。ディミだ、これは。コンディミじゃなく。

最近コンディミを練習するようになったのは、トロンボーンよりもピアノを触ってフレージングを追求することが多くなったのも一端かと思う。つまり、トロンボーンという楽器のコンディミにむいてなさから解放されたから。

結局僕は20年間勘違いしていた。

コンディミは、Diminishを下地に構成されたスケールであるが、これを、Diminishコードで使っても、なんのひねりもない。それは、ただのDimiだ。コンディミはありとあらゆるDominantで使う、使えるところに、意義があるんだなあ。

なーるほどねえ。

みんな使うわけだねこりゃ。

大体はわかってたつもりだけど、楽器的にうまみがないと考えて、あまり深く考えてこなかったことを反省する。

かと言って、トロンボーンで スラスラっと上下するコンディミを使う人はあまり見ないし、今僕もトロンボーンに持ち替えた時に、コンディミのフレーズを吹くとどうしても不自然な感じはぬぐえない。やはり、トロンボーンにおいては使えるコンディミフレーズは限られるようには思う。

ただ、意義を見出すことができたので、もうすこしやりようはありそうだ。


ここ最近は、いわゆる手を動かす練習では、コンディミばかりもごもごやっている。

Dimishから派生したスケールなので、当然ながら コンディミには3種類しかない。

毎日10分でもAny Keyでコンディミを触っていると3種類の系列の区別が

やっと、手の感覚でわかるようになってきた。結局は、柳宗理の言うとおり、手に馴染むまで使い込まないとイカンのだ。

コンディミのよさは。ありとあらゆるドミナントに対して、無理なくハマるところだ。

セブンスコードがあれば、その7thと3rdの増4度を想定して、コンディミをはめる。

そこまで難しく考えなくてもルートから全音下がって7thを想定すればいい。

例えばC7に対しては CとBbを軸とするスケールが 見事に ドミナントのおいしいテンションをかすめてゆく。

コンディミのいいところは、ある音があって、その音から、半音上がる、半音下がる、全音上がる、全音下がる、どのパターンをとっても、一義的に スケールを決めることができるところだ。

2つ音を選んだら、無限に続くピアノの鍵盤の上に、そのスケールの音列が、上方にも下方にもぶわっと広がる、というイメージ。

トロンボーンではなく、ピアノを触っているからこその感覚かもしれない。

というわけで、とりあえず最近の私はスタンダードをAny Keyで回しながら、V7がでてくると コンディミの上行フレーズをねりねりと弾いて、コンディミ頭をなじませている。

やっと、あんまり考えなくてもスケールがしゅっと出てくるようになって来ました。

これ、本来は大学の3回生か4回生でやってもいいことだよなあ(やってたんだけどね、ものにならなかったの)。

やれやれ。