半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

コードの理解 その3:コードを複雑にする理由

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なぜジャズのコードは複雑なのか?

前回では、

  • 複雑なコード進行は単純なコード進行(大まかな流れ)を元に作られている。
  • ジャズではコード進行を複雑化する傾向がある。

 と書きました。
jazz-zammai.hatenablog.jp

ではなぜ、ジャズではコードをちょこちょこと複雑にしがちなんでしょうか?
コードが複雑であるというのは、演奏する観点からは、一見すると難しいような気がします。でも実はそうではありません。

こぶがある方がターンしやすい

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 例えばスキーのモーグルでは、こぶだらけの斜面を滑ります。
 こぶだらけの斜面は一見難しく思えますが、十分に慣れたスキーヤーなら、こぶをターンのきっかけに出来る。
 がりがりでフラットな斜面よりはむしろターンしやすい。
 曲がるのを目的とするのであれば、こぶがあった方が便利。

 ジャズも同様です。
 Bopっぽいフレーズを吹くためなら、コードは細かい方がむしろ吹きやすいんです。
 なぜなら、Bopでは「コードとコードの変わり目」をとっかかりにしてフレーズを仕掛けるから。
 つまりコードとコードの変わり目こそがフレージングに必要だからです。

 というわけで「なぜジャズではコードがちょこまかと細かいのか」というと「細かい方が吹きやすいから」なんですね。

 時と場合によっては決め事が多い方がやりやすいこともあるのです。

 逆に、同じコードが何小節も続いて変化がない場合、Bopではフレーズを吹きにくいとさえいえます。

コーナリング

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基本的にはすべての小節にコードは付与されていますね。
もしコードがちょこまかと変化しても、コードの絶対数は変わりません。
ただ、コードがちょこまか変化すると、コードとコードの継ぎ目というか、変わり目が増えます。

バップの方法論で注目すべきは、コードとコードの変わり目です。
このコードの変わり目を意識するとアドリブが理解しやすいんです。

例えば、

Fmaj7→Bbmaj7

というコード進行があったとします。

フレーズを作るときに、二つのアプローチを考えてみます。

  1. 後のコード、Bbを着地点とするようなフレーズを、前の小節に展開してやる
  2. Fmaj7のコードの構成音を元にしてフレーズを作る

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普通にとられる方法論は1.です。しかしBopでは、2.の着眼点が重要になってきます。

これは、あくまでイメージですが、コードとコードのつなぎめを「コーナリング」するという風な感じ。
具体的にいうと、典型的なBop-Idiomであれば、Bbmajの直前で、F7というコードを仮想したフレージングを行いBbに着地します。

コードのコーナリング

一つの曲を例えばレースのサーキットのようにイメージしてみましょう。
同じコードが続いている部分はストレート、コードの変わる部分はコーナーと考えていいと思います。
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ドライビングテクニックの常識に、スローイン、ファストアウトというのがあります。
これはコーナーを出てストレートに入る初速を速くするために、コーナーの手前で十分減速する方が速く曲がれる、というテクニックです。
要するに出口のストレートをみすえた上でコーナーの曲がり方を決めるということです。
コーナーは、次のストレートのためにある。

バップの方法論というのは、突きつめていうとコーナリングの方法論と言ってもいいかもしれません。

逆に言うと、コーナリングがフレーズのきっかけになるからこそ、コーナー=コードチェンジが必要なんです。これがジャズではコードチェンジが多い理由です。もっとはっきりというと、コーナリングをわざと増やすために、コードの変わり目を"増量"させたりさえしているのです。

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ジムカーナのコース。Bop Tuneのコード進行の「めんどくささ」と似ています
レースでいうと、ジムカーナってありますね。あれがバップの細かいコードチェンジに似たイメージです。
インディ500オーバルコースがストレートロックだとすると、ジムカーナがバップです。
アクセル全開とか、しません。