半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

音量の話 そして音量が関係ない、っていう話

音量がたりない?

一月ごろ飲み会の後でいつものジャズスポットに行ったわけです。

 そこに、浜崎航さんが。

(http://www.watarujazz.com/wataru/Welcome.html)新春早々に来福されてました*1

多少べろべろ感もありつつ、突風のような演奏。

うーんさすが。

久しぶりに一緒にセッションをしたりしたのです。

終わって師匠いわく

「ちょっと音ちっちゃくなったんちゃう?」

「もっとおなかに力を入れて音を支えないと、トロンボーンはやっぱりええ音を出してなんぼやと思うで。

片岡雄三さんなんて、暇さえあればロングトーンしてるけど、やっぱり、トロンボーンは音やで。音でうならさんといかんと思うよ」と。

 確かに最近吹く精度が少し上がって、結構小さい音でパッセージを吹けるようになっていたので、基本的な音量が下がっていたのかもしれない。

 でも、そうやって小さい音でも吹けるようになったのはいいことだけれども、そこから、敢えてちゃんと音量を出さないといけないわけですね。

自戒をこめて投稿。

 確かに演奏するに際して、やわらかさ、スムースさを目指すあまり「つよさ」が足りなくなっている気もする。

音量は関係ない?

 ということを踏まえて最近は演奏するようにしていたのですが、この前唐口一之さんhttp://comode.info/KK/K-K-Top.htmのワークショップに参加していた時に聞いたこと。

「音量は関係ない。」

(え~……?)

話の内容は、プロの人の演奏を実際に生音で聴くのは大事なことや、という話でした。

どれくらいの音量で、どう吹いているのかは、CDではわからないから。

唐口さんは若いころ、何ヶ月かニューヨークに行って有名な人の演奏を観倒したらしいのですが、やたらめったら大きい音で吹く人もいるし、ちーさな音で吹く人もいてまちまちやったと。

サルサのトランペットの人など、ベルが千切れるんちゃうかー、いうくらいでかい音を出す人もいた。

せやけど、上手い下手と、音量はあまり関係ない。総じて言うと、みな案外小さい。

ただ、上手い人は小さい音でも、小さい音を吹いているようには聞こえなかったよ。

小さい音でも、存在感はめっちゃあるねん。

ウッディ・ショウが日本に来ている時に、大阪ではホールで演奏していてPAを通していたので、よくわからなかったんやけど、鳥取公演とかもあったんで、ついていったんよ。ほんで鳥取のホールについたら、外で、すぐそこらへんで練習してたんですって。で、脇にいてずっと聴いてた。

それを聴いて、わかったのは、決してウッディ・ショウは、めちゃ大きな音で吹いているわけではない。

中くらいの音でも、ものすごく存在感のある音を吹きはる。

 ほんでまた、音量だけじゃなくて、適当にぽろぽろーと出した音が、すでにMusic Toneになってんねんな。

 練習っぽい音、無駄っぽい音は一切でていない。

 すべての音が、Musicになってるんやなーと、感心したんや。

あ、それから、ビッグバンドにしても、あんなでかい音でやってんの日本だけやで。モノホンのんは、そないにオーバーブロウはしてへんよ。

結論

 で、浜崎さんの話に戻りますが、結局のところ、その時の僕は、音も小さかったが、存在感の少ない音を出していた、ということなのだろうと思う。

 小さい音でも、息のスピードもちゃんとある固い音が出せれば、デシベル的な音量の多寡は関係ない。

おまけ

このおはなしに出てくるのは

(えーと、きかんしゃトーマスのナレーションで)

浜崎航

D

現在若手サックスの旗手。これは堀さん、高瀬広瀬さんの入ったEncounterというバンド。

唐口一之

D

関西のTpの重鎮です。

Woody Shaw

D

70-80年を代表するジャズトランペッターです。

でした。

*1:浜崎さんは私の師匠でもあります。来福される時にレッスンをしていただいていたりします。