半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

ビッグバンド勢一年生管楽器への「努力しないアドリブ法」その1

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2021年, 広島

ジャズに憧れて、ジャズ研(軽音でもジャズサークルでも名称はなんでもいい)の門をたたく学生は多い。
ところが、入り口ではみなプロミュージシャンのようにバリバリとアドリブすることを夢見るんですが、卒業するころにアドリブをきちんとできている人は、良質なジャズ研・サークルでも10%もいません(平均すると5%くらいじゃないでしょうか)。

jazz-zammai.hatenablog.jp
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これは私が学生だった20世紀の頃から本質的には変わっていません。
これはある種構造的な問題であり、容易には変わらないのです。
個人的には自分の周りでもいろいろ間口を広げるような取り組みもしていたのですが、なかなかうまくいかない。
正直な話。

アドリブの習得については、以前にこういうことも書いてはいました。
jazz-zammai.hatenablog.jp
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ただ、これも結構ハードル高いよね、とは思っていました。

時代はかわった

ただ最近ジャズを始めようという人に、本とかデバイスの紹介をしている時に気づいたんですが、最近の人たちは昔の僕らと違って、もっている道具が違うことに気づいた。
僕の時代は黒本はなくて青本だった。
iReal proはなかった。そもそもスマホもなかった。
アマゾンミュージック、アップルミュージックも、Spotifyもなかった。

例えばスマホのカメラ機能が進歩したことによって、多分「写真部」みたいな部活のあり方も随分かわったように思うんですよ。もちろん美術部とかもね。

だから音楽についても、文明の利器を駆使しまくれば、近道ができるんじゃないかと思う。
僕が紹介するのは「アドリブやってる勢」にとっては当たり前の道具なんですが、
それをアドリブ初学の段階で使うというのが今回のポイントです。
楽してアドリブする。
楽してアドリブの勉強したいですね。

i Real Proを使い倒す

まずは、「iReal Pro」というアプリをスマホなりタブレットなりダウンロードしてください。

2000円弱かかりますが、そこは初期投資です。
実際に i Real proは多くのミュージシャンも使っていますし。
どうせもし君がマジばアドリブ奏者になるなら一度は触れるべきものなのですよ。

i Real Proは、メロディーだけは載っていないのですが、多くのスタンダード曲のコード進行が載っています。*1
転調もできるし、in Bb in Ebの楽器にも対応できます。
さらに、テンポやリズムパターンを変えて、Play-alongとかマイナスワンとかバックトラックとか言ったりしますが、いわゆるカラオケ音源にもなってくれるすぐれものです。
さらにいうと、録音までできるらしい。

さらにさらに、コードの構成音とスケールも出すことができるんです。
私は使わないのであまり気にしていなかったのですが、これを使えば、初心者でも、なんの音を使うべきかがわかりやすいです。
楽にアドリブの学習をしましょう。

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fig.1 iReal Proの画面(初期はダークモードで白黒逆かもしれない)

これがiReal Proの実際の画面です。左列にindexがあり、中央上にあるボタンをおすと右のコード進行の画面が全画面表示になります。

下の方にいろんなボタンが並んでいます。
一番右下の方にコードとそれに使えるスケールを示す機能ボタンがあります。

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fig.2 コードスケール

で、コードスケール選択で、右から2つ目(五線紙と音符みたいなボタン)を選んでください。


そして、一番下の「▶ボタン」これを押すとバックトラック演奏になります。

そうするとあら不思議、今流れているコードの場所で、そのコードに対応するスケールが表示されるではありませんか!

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fig.3 Play Alongの様子(今演奏されているところが黄色で表示される)

めちゃくちゃシンプルに言えば、この場所ではこの音を吹けば、それらしくなるってえ寸法です。
それが「つかえる音」ってわけ。

その2に続きます。

*1:iReal proのユーザー同士で共有できるフォーラムというところで、マイナーな曲もデータ化されています。