半熟ドクターのジャズブログ

流浪のセッショントロンボニストが日々感じたこと

どの曲を始めるべきか? その2 レパートリーを増やす

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これも上野の国立科学博物館のみやげですな。

前回 (どの曲から始める? その1 初学者の場合 - 半熟ドクターのジャズブログ )の続きです。

レパートリーを増やす:

 さて、初学の段階では、前回上述したように一曲一曲こなしていくわけですが「一つの曲をしゃぶりつくす」ような練習方法をそうやって何度か経験すると、一曲をある程度仕上げる時間は逓減します。そうやって幾つか曲を演奏するのにも慣れてくると、次の段階に入るでしょう。

 一つ一つの曲に根ざしていない、ジャズの普遍的な語法を錬成する段階です。
 どんな曲でも、アドリブのフレージングのための語法は共通です。その共通の語法を自分の中で構築する段階ですね。理論的スキームが自分の中にできれば、どんなコード進行にも対応できるわけです。

 理想をいうと、最終的な目標は初見の曲も既出の曲と同様に演奏できるようになること。これは曲の前準備に要する時間を出来るだけゼロに近づけるということを意味します。*1

 この段階に適しているのは、1:持ち曲のバリエーションを増やすこと、さらに言えば2:「持ち曲」という概念をなくすことです。
例えばセッションなどで、やったことがない曲を演奏してみるとか。
その場合、前提として大まかな曲の構造をざっと把握する能力が必要になってきます。

この段階になってくると、冒頭の質問である「どの曲が難しいか」という問題が再び重要になってきます。

 発展途上の段階では、今の自分の実力ではうまく演奏しきれない曲は確実に存在します。
今の実力とのギャップが、どれくらいあるのか。「今」ちょっと頑張ったらできるのか、それとも「あとまわし」にすべき曲なのか。
 無限に時間があるなら深く考える必要はありません。
 一曲一曲時間をかけてこなせばいい。
 しかし、残念ながら、学生生活も、そして人生も有限なのです。

 今の自分の力では手に余るような難曲一曲に多大な時間を要するよりは、初級から中級の曲をバランス良く、そして効率よくこなした上で、難局に向かう方が、トータルの所要時間は少なくて済む。そして多くの曲に触れることで、持ち曲のバリエーションも増やすことができます。

 では、この段階で(つまりアドリブ語法の習得段階で)問われる曲の難易とはなんでしょうか?(つづく)

*1:もちろん、これには弊害もあります。これについては以前、 曲をこなせるようになる、とはどういうことかに書きました。